
私は日本にいた時,塾講師として働いていた経験がある。そして,大学受験の指導を行っていた。
そしていま,私はオーストラリアで1年間生活している。
「日本とオーストラリアで学歴に対する考え方は違うだろうか?」と考えたので私の見解を示す。

- 横浜国立大学 卒業
- 慶應義塾大学経済学部 中退
- 米国大学英語コース 終了
- Diploma of TEFL取得(英語教授法の専門学校卒業)
- 米国大学院 教育学修士課程 在籍

目次
オーストラリアの教育制度
オーストラリアの教育制度は日本とどう違うのか?
オーストラリアの教育制度は、日本の教育制度と比較して詳細かつ階層的に分類されているのが特徴。 大学卒業だけでなく多様な職業訓練のための資格体系が整備されている。
以下の一覧はオーストラリア政府の公式情報を基にしています(詳細はこちらの記事を参照)。
- Certificate:職業訓練の終了証。1~4までのランクがある。
- Diploma:日本の専門学校に相当する
- Advanced Diploma:専門学校と大学卒の中間
- Bachelor:大学(学部)卒業
- Graduate Diploma:準修士。大学(学部)を卒業した人が修士課程に進学する準備コース
- Master:修士課程修了
- Doctor:博士課程修了

更に,日本とは異なり専門学校や職業訓練校が充実していると感じた。学校の種類は以下の通り。
- University
- TEFL
日本の場合,高校を卒業すると多くの人が4年制大学に進学する。人によっては専門学校や短期大学に進学するが,職業訓練校に進学するケースは稀だろう。
そして,入学した大学の偏差値がとにかく重要になる。例えば,日東駒専よりはMARCHの方が上,私立大学より国立大学の方が上といった感じだ。
そしてオーストラリアの学校の特徴は公立の職業訓練校TEFLが充実していること。
例えば看護師として働きたければ,職業訓練校に入学しDiploma of Nurseを取得することを目指す。そのため看護師になりたいと思ったときに社会人でもスクールに入学する。Universityはどちらかというと研究がしたい人向けの学校だ。
なんと,職業訓練校TEFLでBachelor(大学の学部卒に相当)の資格も取ることができる!!


日本では職業訓練校というと失業者が就職活動のために入学することが主だが,オーストラリアでは条件によるがオーストラリア市民は無料で職業訓練校で職業訓練を受けられる(Free TAFE)。オーストラリアは教育に力を入れている。それ故に,ワーホリ生は現地で学位を取ろうとすると何百万円ものお金を払わなくてはいけないため基本的には学位なしの状態。オーストラリア市民と比較すると就職活動はかなり不利になる。
オーストラリアで学歴は役に立つ?1年間生活した感想
オーストラリアの職業訓練校とは?メリットと特徴


「オーストラリアで学歴は役に立ったか?」と聞かれたら,私にとってはほとんど役に立たなかった。
本当はもっと学歴の話や,Diploma of TEFLを取りました!といった話がしたかった。

例えば,オーストラリアでマッサージ師として働く場合を想定する。
マッサージに関連する資格は以下の通り。
- Certificate IV in Massage Therapy
- Diploma of Remedial
「Certificate IV in Massage Therapy」はマッサージの基礎の身に付けたことを証明する資格
「Diploma of Remedial」は保険適用をするマッサージを行える独占資格。この資格があるとマッサージ店でかなり優遇される。

お店側はあくまで「マッサージのスキルがあるかどうか」が気になっているのであって,大学卒か,院卒かなどの学歴はまったく気にしない。ましてや偏差値は何の役に立たない。そのため,私は大学卒で院生だが,そもそも学歴の話は出てこなかった。雇い主は,その職業に関連しない資格や学歴にはあまり興味を示さない。



そもそも世界全体では大卒資格を取得していない人も多い
私がバックパッカーズに宿泊していると,多くの旅人に出会った。
「大学生ですか?」のように私が質問すると,何人かの人(主にヨーロッパ系)は次のように答えた。
「大学には前まで通ってたけど途中で辞めちゃった」
「今はインターネットで勉強できるから大学に入る意味がない」
大学に通うのではなく,自分で勉強してスキルを磨いたり,学歴に拘らず世界旅行をする人などが多く存在した。

学歴が役に立たない,というのはあくまでも仕事探しの時の話。ワーホリでは仕事探しが特に重要になる。然し,大学受験を行っていればそれだけで自身に繋がるので,出来れば多くの人に大学には通ってもらいたいと思っている。
まとめ:オーストラリアの学歴
日本とオーストラリアでは学歴や教育制度に対する考え方に大きな違いがあります。オーストラリアは職業訓練校や資格制度が充実しており、実務に直結したスキルや専門資格が重視される社会です。一方、日本は大学の偏差値や学歴の序列が重要視される傾向が強いと言えます。
私自身の経験からも、オーストラリアでは大学の学歴よりも、関連する職業資格や技術、実践力が評価される場面が多かったと感じました。例えばマッサージ師の仕事では資格が採用に大きく影響し、学歴が直接問われることは少なかったです。
また、オーストラリア市民向けには無料で職業訓練を受けられる制度があるため、教育への投資やスキルアップの機会が国民に広く提供されています。一方、ワーホリや留学生は学費の負担が大きく、現地の市民と同等の学歴を得ることが難しいという現実もあります。
今後、日本でもオーストラリアのように職業訓練校や専門資格がより評価され、学歴だけに依存しない多様なキャリア形成が促進されることが望ましいと感じます。
このような視点は、これからオーストラリアで学ぶ・働くことを検討している方、また日本と海外の教育やキャリア観の違いを知りたい方にとって、有益な情報になるでしょう。ぜひそれぞれの国の教育制度や資格制度を理解し、自分に合ったキャリア選択をしていただきたいと思います。